日本でも監査基準が改定され、2020年3月期から、上場企業の監査報告書で、KAM(Key Audit Matter)が報告されるようになるのだが、世間の関心は薄いようだ。このKAM、日本では「監査上の主要な検討事項」と称されているが、マスコミでもほとんど取り上げられていない。また投資家サイドの期待もあまり感じられない。そもそも日本の株式市場自体が盛り上がっていないし、日本における監査に対する信頼や期待もそれほど高くないので無理もないかと思う。

そうは言っても、企業の経営者や監査役の立場の方々には、それなりの影響はあるだろう。今までは、監査法人と内輪で話していた会計監査上をめぐるシビア(?)なやりとりが、外部に報告されることになる。そうなると当然、企業側に説明責任が生じることになる。また、監査法人も、KAM(監査上の主要な検討事項)に対して、どのような監査手続を実施したのかについて、わかりやすく説明することが求められる。監査手続の内容や実効性、監査法人の判断について、これまで以上にチェックを受けることは間違いない。

KAMがもっと世の中の注目を受けても良いと思うので、これから、ヨーロッパやアメリカなど先行事例をもとにKAMに関する情報発信をしていきたいと思います。一般の投資家の方々への説明を念頭に、できるだけ平易で分かりやすい解説をしていきますのでよろしくお願いいたします。